右ひざの裏がかゆい

経済系3年次編入のこと

東北大学経済学部3年次受験記

 まあ結果から言えば東北大経済の編入には落ちました。合格するための方法だけ探している方はもうここから先読む必要は多分ないです。

 

 というか前の記事も読んでくださった方からすれば「てめえ『情報がないから後学のためにブログ書く』っつってたじゃねえか、なんで情報多い東北大の、しかも不合格の体験記書いてんだよ、結局編入記書きたい老害だろテメー、わかってんだぞ、お前んちが土佐犬の子犬の顔をグッと押しつぶしてこれはパグだって言い張って売りさばいてんの」ってなると思います。まあそんなに焦らないでください。東北大学の筆記試験専門科目は マルクス経済学・ミクロ/マクロ経済学・経済史・数学・経営学会計学 の6つのうち2つ選択ですが、僕が選択したのはマルクス経済学と数学です。今回はマルクス経済学の話です。そもそもなんで僕がミクロマクロを取らなかったのかということについては次回書きます。

 

 

H30年度東北大学経済編入の外観

 この年は自分が知りうる限り最少の受験者数でした(実際に受験したのは54人)。隔年現象を考えれば倍率低下は予想できたのですがここまで少ないのは予想外でした。まあ落ちたんですけど。今年から神大経済の受験が数学必須になって倍率が下がった(裏では神大経営の倍率が上がった)ので横国か東北の受験者が増えるという予想もあって僕はそっちの考えに引きずられていたので。

 一方、問題の内容はというと経済も経営も中ゼミでは扱わない内容が出題されていた(と聞いてます)ので予備校生もうまくいったとは思えず、ツイッターで知り合った受験仲間(全員独学勢)も戸惑っていました。経済史はわかりません。会計学は比較的簡単だったらしいです。

 マル経と数学については詳しく書きます。

 

数学

勉強

 東北大学では基本的に、微分積分線形代数統計学の分野から4問出題されるのですが、そのうち一問は高校数学レベルである場合が多いです。もともと一般受験で数学をやっていたこと、神大受験を考えていたので微積線形代数はある程度できるであろうこと、過去問を解いてみるとここ3年の問題は必要な点数は取れることなどもあって、ほぼ統計学しか勉強していませんでした。使用したのはマセマ統計学だけです。一応マセマ微分積分も見てはおいたのですがこれ勉強しなくても合格点は取れるかな、と思って実際に取り組みはしませんでした。

 挑んだ時点で僕にあったのは、神大数学を解く程度の微積線形代数の知識、2変数関数の微分の初歩、マセマ統計学の知識でした。ちなみに東北大統計学は離散型・連続型確率、推定くらいしかでないのでカイ2乗分布やらフィッシャー分布やらはあまりしっかりやっていないし、検定も似たような状況です。

スバラシク実力がつくと評判の統計学キャンパス・ゼミ―大学の数学がこんなに分かる!単位なんて楽に取れる!

 

試験

 いざ問題が出てみるとなんとも微妙な問題......。大問1は2変数関数の偏微分極値が出題されて偏微分しかできませんでした。大問2は線形代数の分野からまさかの線形写像......。勉強してないので捨てました。大問3の統計学は連続型確率関数の問題だったんですがこれがガバガバ難易度......。私の頑張りとはなんだったのか......。大問4は発想さえあれば中学生でも解ける確率の問題でした。nを場合分けして2の倍数と3の倍数引けば終わり。

 全体では30/50弱だと思います。

マルクス経済学

勉強

 マルクス経済学は受験者が少ないことや「やばそう」のイメージで避けられてしまうのですが僕は東北大学の志望分野が経済学史か経済と倫理の分野であることもあってマル経が好きです。在籍大学の授業で使用されていたこと、担当教員が「マル経の教科書の中では最もスマートにまとまっていると思う」と言っていたこと、そして何より著者が東北大学の教授で志望ゼミの教員も寄稿しているということでテキストには「政治経済学の再生」を使いました。このテキストは前半でマル経の解説、後半でその可能性や意義を語っているのですが基本的には前半だけで大丈夫です。いままでの問題はこれさえやっていれば6割は取れます。

  おっ、なんとなくマル経やったろかな、なんて思ってくれた方、いたらまず言いたいのは資本論から読み始めるなということです。マルクスはお坊ちゃんで、読む人のレベルの想定が高いせいで(もちろんマルクスの抽象化能力が高いせいでもありますが)とにかく読みづらいのです。原典が難しいせいで誤訳があることも多く、試験勉強には向きません。多少寄り道をしつつもマルクスの現代的意義を考えられるという点ではデヴィッド・ハーヴェイの「資本論入門」は面白いです(今読んでます)。マルクスの著書が読みたいなら最初は「経済学・哲学草稿」か「経済学批判」がおすすめです。「哲学の貧困」はプルードンの「貧困の哲学」をディスって書いたものなので予備知識が必要かもしれません。

  まあマル経は他の大学では受験に使えないのがネックなのでこの記事の内容を多少のカバーをするなら、京大編入で社会経済学を選択する場合、最初はヒューマニティーズの「経済学」をお勧めしておきます。まあこれは京大の教科書らしいので受験者の間では常識なのかもしれませんね。ヒューマニティーズ「経済学」のいいところは「もっと知りたきゃこれ読め」って感じで参考図書がたくさん紹介してあるところです。経済学の入門書としてもどうでしょうか。

政治経済学の再生

政治経済学の再生

 

 

〈資本論〉入門

〈資本論〉入門

 

 

経済学 (ヒューマニティーズ)

経済学 (ヒューマニティーズ)

 

 

 

試験

 マルクス経済学は転形問題からの出題でした。剰余価値論からの出題は予想できていてのですが東北大学はもっと変な問い方をしてくると踏んでいて、いきなり「転形問題について説明せよ。」と問われて各論との兼ね合いをメインに構えていた僕は用語を知らず、あてずっぽうでこれかな?と思ったところを書きましたがそれは全く別のテーマでした.....。概念こそ知ってはいたのに......。しかもそのあとは「転形問題を踏まえて価値論の現代的意義を書け」と問われたので僕は完全にやられました。僕は経済学説こそ好きでもその現代的意義なんて考えたことがなかったし、デヴィッド・ハーヴェイ資本論入門を読み始めたのは試験が終わってからなのでその視点さえありませんでした。そもそも転形問題って何?な状態だったこともあって何も書けず。

 結論。こんだけ偉そうにマル経のことを語っておいて本番はマル経、0点!w

 (ちなみに僕が現代的意義なんて考えていなかったので転形問題について書けなかっただけで、転形問題はマル経の中で最も議論されたテーマの一つです)

 

小論文

 小論文はざっとテーマを予想して「シェアリングエコノミー、アベノミクス、電子決済、外国人労働者、どっかそこらへんかな?」とはなりましたが思考力を試すだけでそんなに知識いらないんじゃない?とか、言うてもシェアリングエコノミーでしょ、とかおもっていました。

 そんなことをしていたら本番で出たのはアベノミクス。しかも普通に具体的に知識を聞いてくる。とりあえず書いた内容は正解と基本的には同じ方針だったのですがいかんせん知識が薄いので満足の行く内容は書けませんでした。

 それから!これは一番言いたいことです!問題用紙をちゃんと読みましょう!小論文では原稿用紙が4枚配られて、それぞれ1枚、1枚、2枚の配分で使えば3つある小問にぴったり合うのですが、試験が終わってから「小問番号書いた?」と言われて気づきました。問題用紙には「回答用紙の回答開始位置の左側の欄外に対応する問題番号を記すこと」と書いてありました。僕はそれを見ずに回答してしまいました。あーあ。いや多分普通に採点してると思うんですけどね。得点開示してわかったら言います。ちなみにツイッター独学東北受験勢4人のうち、問題番号を書いた二人は合格、書いていない二人(僕含む)は落ちました。専門の予想点数も英語の点数もみんな同じくらいだったんですけどね。

 

結果発表

 さすがに落ちたかなー?いやでも今年は少し難しかったから......。なんて思って結果発表を待っていたんですが、まさかの結果発表とゼミの時間がかぶる事態の発生で他人様より遅く結果を(ゼミの休み時間で)見ることになったのですが見事に落ちて笑いました。まあ今年は九大受かってるのでまだみんな笑える受験芸になったのですがまーた落ちたのかこいつってなりました笑。

 と、まあこんな感じです。落ちてるのでもう何も言えないです()面接対策とか結構考えたのになあ。九大から東北大の発表まで、途中で神大やら阪大やらの結果発表があって焦りやらなにやらでしんどかったです。多分今年は高専生が数学満点取ってるんでしょうね、簡単でしたし。あーあ。あ、ちなみに残念ではあるんですけど悲しくはないです。なんというか自分の古典派に対する考えやら態度やらがいかに浮世離れしたものだったのかがわかったり、九大に行って何をどうしていこうというのを考えるので精いっぱいだったり、いろいろ理由はありますけど、とにかく悲しくはないです。いやもちろん受かりたかったし今でも行けるものなら行きたいですが、まあほかの夢だとかビジョンだとか、ないこともないし。

 受験終わってよかった。

 以上。